おしゃれな財布を買った。誕生日だったので。
わたしは周りからおしゃれに無頓着と思われていると思う。化粧もしないし、服もてきとうに着ている。動きやすいのが第一で、あとはポケットの無い服は絶対に着ない。
寒い時は暖かい服、暑い日は涼しい服がいい。
スカートは動きにくいからあんまり着ない。でもたまには着てもいい。
こだわりはそんなところ。
だから、おしゃれに無頓着と思われることが多い。
だけど、おしゃれな財布を買った。
一目見て気に入ったから。
おしゃれな何かを買うとき、
「わたし自身はおしゃれでは無いのに、おしゃれな物を買っても良いのだろうか?」
と自問することが多かった。
「他におしゃれなものは持っていないのに、これだけおしゃれでもな…」
と。
「あの人、〇〇だけはおしゃれだよね」
そう言われる気がして。
だけど最近は、「それだけでもおしゃれになりそうなもの」こそ買うことにしている。
1つだけおしゃれでも、統一感がなくても、自分を楽しくさせてくれるものにお金払いたい。
「おしゃれなもの」は、ふさわしい自分にならないと買ってはいけないと思い込んでいたのだけれど、そもそも「ふさわしい自分」の基準があいまいだった。
どうすればなれるのかわからない理想を無駄に掲げて、欲しいものを指をくわえて買わずに、たいして欲しくないものを買い続けていた。
惰性で、欲しくもないものを、無難だと思うものを、買わなきゃいけない気がして買う方がただの浪費だった。
思えば、人に対して
「〇〇だけおしゃれだよね」
なんて陰口を叩く人の方を向いて、気にして、それは時間の浪費でもあった。
本当の友達は何も言わない。
元々、変わったものが好きだった。
「人と変わったことをしたい、人と違うものを持ちたい。」
そう思っていたけれど、中二病かと思っていた。
中二病じゃいけないんだと思っていた。
だけど、治らなかった。そもそも、中二病じゃダメなんてことも思い込みなんじゃないか。
それと、最近やっと気づいたのが「おしゃれ」だと思う基準は人それぞれだということ。
自分がおしゃれだと思うものを好きにしたらいいのに、それすらわからずおびえていた。
誰に?何に?わからない。
自分に課した謎ルールが多すぎる。
おしゃれな財布を買いました。
謎ルールを解除して。
おしゃれな財布を買いました。
誕生日だったので。
自分が勝手に作ったルールに縛られて、他人に嫉妬している場合じゃない。
年齢とか性別とか体型とか顔立ちとか、気にせずに物を買うことを誓った、31歳の誕生日だった。