自分で自分の顔はまぁまぁ気に入ってはいるが、
それはそれとして、他人から見たわたしの顔はなんの特徴もない顔だということもわかっている。
はっきり言って顔の種類で言えばモブの方だ。
※モブ:モブキャラ。主要キャラ以外のその他大勢的な。
似ている有名人など居ないし、
今まで生きてきて一番よく言われたのは
「地元の友達に似てるー!」である。
「初めて会った気がしない」とかもまぁ多い。
つまりは馴染みやすい平均的な顔なのである。
なので、とにかくよく知らない人に道を聞かれたりする。
結構遠くの距離から一直線にわたしに向かって歩いて来て道を聞かれたりもよくある。ちょっと怖い。
寸借詐欺なども当然のように声をかけてくる。少しは遠慮してほしい。
わたしとしてはもう「またかー」と慣れっこになっていて、
そういう星の下に生まれたんだなーと思うばかりだ。
先日も、とあるショッピングセンターの衣料品コーナーで
ぬいぐるみを見ていた時に声をかけられた。
卯年なのでうさぎのぬいぐるみでも買うか?と思い、
手触りを確かめていた時のこと。
「可愛いねぇ。わたし子供いないからねぇ、こういうのが欲しくなるねぇ」
老婆があらわれた!!!!!
いつの間にか近くにいた老婆に急に話しかけられ、
さすがのわたしも驚いた。
気配が無かった…というのは漫画の読み過ぎだが、
ぬいぐるみを捏ね回すのに忙しく、結構近くの距離に来るまで気がつかなかったのだ。
出た!急に話しかけてきて自分語り奴〜!!!
特に高齢の方に多いのだが、急に話しかけてきて一方的に身の上話を始め、
気が済んだら突然切り上げるのでモヤモヤすることが多い。
あまりにも多いのではっきり言って「またその手合いか」と思った。
最初は優しく応対していたが、自分の話したいことだけ話して去っていかれることがあまりに多く、さすがに面倒なのである。
わたしってなんて都合のいい女なの…。
が、今回の相手は子供の居ない独居老人なのか…。
少しは同情し、会話をすることにした。
「うちも子供居ないのでわかりますー」
こちらの個人的なことを聞かれたりする前にある程度ブロック!といった感じの返答をしたつもりだった。
すると、
「うちは猫がいるのよ。5匹」
だって。
猫?????自慢か?????
猫好きなのに猫アレルギーなので、マジでうらやまs…
いや待って、
高齢独居(たぶん)なのに猫???????
それ病気した時とか大丈夫なの???????
5匹も????????????????
だけど、
「猫うらやましいですー」
としか言えない。
他人に話しかけちゃう孤独な独居老人かと思っていたのだが、
激ヤバおばあちゃんの可能性も出てきた。
コマンド:たたかう →逃げる
とか考えていたら、
「わたし〇×歳で〜」
とか色々言ってた。
とりあえず適当に相槌を打っていたら、
「この裏でお店をやっていてね〜」
と。
良かった、おばあちゃん激ヤバじゃ無かった。
…いや、これ営業じゃん(真顔)
自分語りをされた上に営業までされてしまった。何たる不覚。
「〇〇ってお店なの」
念を押すように店名をきっちりと伝えてくるおばあちゃん。
歩くのに少し苦労している感じだけど、
お店を切り盛りしているのはすごい。
「あぁー、はい」
「〇〇ってお店。」
なんか圧を感じる…。
「こ、今度行ってみまs…」
「よろしくねー!!!娘夫婦がやっているのよ」
あ、おばあちゃんがやっているかと思ったんだけど、
娘夫婦がやっているのね。なるほど。
しかし、圧に負けてしまった。
あまり行く気もないのに「行ってみます」と言わされてしまった。
悔しい…なんか悔しい…
ぬいぐるみを捏ねる手にも力が入る(このあと買いました)。
その頃、何か異変を察した夫氏がこちらへやってきた。
「どうした〜?」
能天気なその顔を見て少しイラッとしたが夫氏は何も悪くない。
あんたが居ない間に営業をされていたんだよ!!!
わたしの優しい気持ち(?)につけ込まれたようでなんだかモヤモヤしていた。
おばあちゃんに会釈をして、夫氏と歩き始める。
「いやぁ、おばあちゃんが子供居ないって話しかけてくるからさぁ…えっ???」
「え、どうしたん???」
「お店、娘夫婦がやってるって言ってた…」
「???」
訳のわかってなさそうな夫氏に最初から説明をしたがわたしもわからなくなった。
子供がいないっていうのは今子供と住んでいないということ?
でも離れて暮らしているからって「子供いないのよ」とは言わなくない?
子供がいない、ってのは孫がいないって意味?????
どういうことなの?????
おばあちゃんにゴリ押しされたお店は現在も営業しているようだが、
真実を確かめに行く勇気も元気も、今はまだ無い。